ハナコさんの『ワクワクひとさじで』

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焼失したと思われた刀が現存していた!90年の眠りから目覚めた伊達政宗の愛刀「燭台切光忠」

こんにちは。

 

小野田ハナコです。

 

昨日ご紹介した「薬研藤四郎」

刀剣乱舞の中には薬研のように、現在は存在していない刀も登場します。

 

例えば新撰組の隊士たちが所有した刀。

ゲームの中には近藤勇土方歳三沖田総司の愛刀が5振登場しますが、

このうち現存しているのは、

土方歳三の打刀「和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)」ただ1振のみ。

その他の刀は折れてしまったり、行方不明になってしまったりと所在がわかっていません。

 

今回ご紹介する「燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)」も

つい最近まで「関東大震災で焼失した刀」と思われていました。

ところが2015年にゲームが配信され、その存在が注目されるようになると

焼失したわけではなく、実は被災刀として保管されていたことがわかったのです。

 

鎌倉時代備前岡山県)の刀工、長船派の祖とされる光忠が打った刀です。

 

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カッコよさにこだわる伊達男。

伊達政宗が自ら料理をして客にふるまったと言われており、燭台切光忠も料理好きな設定です。

 

「燭台切」の名の由来は、持ち主である伊達政宗が家臣を手打ちにした際に

そばにあった青銅でできた燭台も一緒に切り落としたことから。

 

伊達政宗以前の持ち主については、織田信長豊臣秀吉などの俗説があるようですが、

いずれもはっきりとした出展がわかっていないようです。

 

その後、仙台の伊達家から水戸の徳川家に渡り、現在は水戸市にある徳川ミュージアムが所蔵しています。

 

1923年9月1日の関東大震災による火災で、燭台切光忠焼身となります。

火事の後に保管されていた蔵を開けた際に起きたバックドラフト現象が原因ではと言われています。

 

これ以降、現在まで世間では「焼失した現存しない刀」と認識されてきました。

 

  • その時、歴史は動いた

2015年にゲームが配信されると、実装されている刀を一目見ようと各地の博物館などに足を運ぶファンが増えるようになります。

 

徳川ミュージアムにも燭台切光忠の現存について問い合わせが殺到しました。

 

そこで「焼失したわけではなく、実は被災刀として保管されている」という事実が判明したのです。

 

(実はミュージアムによると現存を非公表にしていたのではなく、焼けたことで美術品としての価値が低くなってしまったため、展示をしても注目されてこなかったとのこと)

 

この発表により公開を希望する声が多く寄せられ、燭台切光忠は同年5月にミュージアムで限定公開されることになりました。

 

こうして燭台切光忠に新たな価値が見いだされたことで、

長きにわたる眠りから目覚めたのです。

 

また在りし日の燭台切光忠の輝きをよみがえらせる再現刀(写し)の制作プロジェクトも始まり、2018年には本歌である焼身刀と写しが並べて公開されました。

 

2017年より水戸偕楽園の梅まつりの時期には

刀剣乱舞のアニメ「刀剣乱舞-花丸-」とJR東日本がコラボイベント「花丸遊印録」を開催するようになり、徳川ミュージアムもこれに協力をしています。

 

今や燭台切光忠はすっかり水戸の顔になり、2019年の第3弾においてはなんと

「快速 燭台切光忠」と名付けられた特別列車が運行されました!

 

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外観や内観は燭台切光忠でラッピングされ、声優さんによる車内アナウンスや記念グッズの配布などファンにはたまらない特別なイベントとなりました。

 

この動きがなければ、燭台切光忠は今も歴史の陰で眠ったままだったのかもしれません。

 

刀剣乱舞が注目されることで、昨日の薬研藤四郎や今回の燭台切光忠のように

非現存とされてきた刀を写しとしてよみがえらせるプロジェクトが他にも進んでいます。

 

よく

「人は二度死ぬ。それは命を終えた時と存在を忘れ去られた時だ」

と言いますが、それはモノにも同じことが言えるのかもしれません。

 

歴史のかなたに忘れ去られたモノたちが、新たな命を吹き込まれてよみがえる。

私が刀剣乱舞に魅了されるのも、登場キャラがイケメンだからというわけではなく、

彼らが様々なストーリーを背負ってきたことにあるのでしょう。

 

今後も色々な動きに注目していきたいと思います。

 

それではまた!